突然ですが皆さん、「ホスピタリティ」と「サービス」の違いってわかりますか?
ホスピタリティのお話をさせていただくときに、必ずと言っていいほど受講生に質問するのですが………
「ホスピタリティ」=「最高のサービス」と言われることが多いです
ホスピタリティとサービスが同義語のように使われているのですが、私はこれがとても気になるんですよ……
ホスピタリティとは………サービスとは………という「定義」の話になってしまうので、堅い話になってしまいますが、ホスピタリティを語るにあたってとても重要なことであると思ったので、ぜひ皆様にも知っていただければと思います
1語源が違う
「ホスピタリティ」「サービス」という言葉の由来なのですが、そもそも語源が違います
言葉の由来と聞くと学問的な感じがして拒否反応を示す人が多いのですが、どの様にしてその言葉が出来たのかと言うことに関して、私はその言葉に込められた「想い」が詰まっていると考えます
なので、言葉の語源についてもぜひ理解していただきたいと思います
・サービスの語源
サービスの語源はラテン語のセルバス(servus)という言葉が源にあります
このservusには「奴隷」という意味合いがあり、ここからserve(仕える・尽くす)やservant(召使・使用人)
という言葉が生まれました
テニスの「サービス」も、もともとは主人がボールを打つために奴隷が打ちやすいところにボールを投げる
という行為からきているそうです
・ホスピタリティの語源
ホスピタリティの語源はラテン語のホスぺス(hospes)という言葉が最初の派生の源となっています
このhospesには「客人の保護者」という意味合いがありここから客人をもてなす者として、host(主人)hostess(女主人)という言葉が発生してきました
さらに時代を経て「接客用宴会」や「来客用の部屋」という意味を持つホスピターレ(hospitale)という言葉が生まれ現代の「病院」を意味するホスピタル(hospital)や「旅館」を意味するホテル(hotel)という言葉が生まれました
つまり、「サービス」という言葉の根本には「奴隷・召使」という意味合いがあり「ホスピタリティ」という言葉の根本には「客人の保護・もてなし」という意味合いがあるのです
2対象となる人間関係が違う
ここまで聞いて、言葉の語源が違うということはおわかりいただけたかと思います
ところが、語源が違うからと言っても「相手のために何かをしてあげる」と言うことには変わりないよね?というご意見をいただいたことがあるので、もう一つ重要な「行為をする側」と「行為を受ける側」の人間関係の違いについてご説明しますね
・サービスにおける人間関係
サービスの概念からみると、行為をする側と受ける側の関係は「一時的主従関係」であるといえます
もともと奴隷と言う意味合いを持つのですから、主人と従者の間には主従差別の関係があります
つまり、主人が上であり、従者が下という上下関係の下に成り立っています
・ホスピタリティにおける人間関係
ホスピタリティの概念からみると、行為をする側と受ける側の関係は「主客同一関係」であるといえます
客人の保護者という意味合いを持ち、そこには相互満足しうる対等となるにふさわしい共創的相関関係があります
つまり主人と客人の間に上下関係はなく、対等の関係であることが前提となります
簡単に言ってしまえば、サービスにおける人間関係は「主従関係」「上下関係」であり
ホスピタリティにおける人間関係は「対等な関係」であるということです
では皆さま、あなたの目の前にいるお客様(上司・部下・同僚)と末永く良好な関係を続けていくために
「サービス」を施しますか?それとも「ホスピタリティ」を施しますか?